ポケモンと出会う体験を海外へ
ポケモンが世界で長く愛されるために
海外へポケモン体験を届けるために、ポケモンセンターの社員はどのような仕事をしているのでしょうか?
1 海外でポケモンセンターを立ち上げるには
プロジェクトマネジャーとしてプロジェクト全体を管理
多岐にわたるタスクは丁寧に進捗確認
ポケモンセンタータイペイは、どのような流れでオープンしたのでしょうか?
まずは、T.KさんとY.Hさんの役割について教えてください。
T.K
2021年中頃、長年検討してきた台湾への出店プロジェクトに参加することになり、その後に台湾出店準備室が発足しました。
その後、Y.Hさんが加わり、共にプロジェクトを推進する立場として、本プロジェクト全体の進行管理を担当しました。
大きなプロジェクトを進めるにあたり、タスク管理の難易度がかなり高いと思うのですが、どのように行っていましたか?
T.K
準備期間は、事業計画、コンセプト策定、現地法人設立、契約書や輸出入などの法務、現地で使用するシステム、店舗開発、採用、研修など、幅広い分野のタスクを把握する必要があったため、週次で定例会を開き、各セクションの担当者と「どのタスクが完了しているか」「どこが原因で滞っているのか」一つ一つタスクの進捗確認をしてキャッチアップしていきました。進行していくうちに追加のタスクもどんどん出てくるので、大・中・小の項目で分け、期限を決めて、タスク漏れがないように気をつけていました。
Y.H
専門的なタスクが多岐にわたるため、まずは分かるところと分からないところを仕分けし、分からない部分は詳しい方に伺い、どう進めていくかを決めていきました。
普段は深く関わらないような社内のいろいろな部署とつながることができ、知見をいただきながら進めることができました。
ポケモングループ皆さんの協力がなければ成し遂げられないプロジェクトでした。

現地法人設立、企業間の契約、商品の輸入手続き、建築基準・・・
初めてぶつかる壁に一つ一つ向き合っていく
現地法人を設立する際は、どのように進めていきましたか?
Y.H
台湾への進出自体がポケモングループにとって初めてのことだったので、現地法人設立、企業間の契約、商品の輸入手続きといった法律面では、いくつも壁にぶつかりました。企業間の契約は、すでに契約を結んでいる企業とも新しい法人として契約をし直す必要があるため、数十社とのやり取りが必要でした。
通常のリーガルチェックに加え、台湾の法習慣は台湾現地の法律事務所に見解を伺いながら、契約する企業との間に立って交渉を進めていきました。当時は、「こんなに契約書を読むことはない!」というくらいに読み込んでいました。

スクリーンの映像を使ってカイリューの速さを表現
台湾の方にポケモンの世界観を体感していただく空間づくり
Y.Tさんが担当されている「店舗開発」は、どのようなことをしているのでしょうか?
Y.T
私たちは、「お客様にとって買い物がしやすい」「スタッフが機能的に使いやすい」「ポケモンセンターの目指すミッションが叶っている」の3点を軸に、店舗の設計・デザインのプロデュースをしています。社内と協力会社の間に立ち、社内で議論した3軸に対するフィードバックの内容を、デザイナーや設計士が受け取りやすいように言語化して伝え、図面に起こしていただく流れで進行しており、かなりコミュニケーションが重要な仕事です。
海外で店舗開発をする点において、日本とのギャップはありましたか?
Y.T
設計とデザインは日本で店舗開発をするのと同じようにできましたが、施工は現地の法規制や商習慣など違う環境のため、国内では通用していた想定が、台湾では事情が違い想定どおりにいかないことがあり、スケジュールの調整に苦労しました。当時としては十分な事前調査はしていたものの、もっと調査できていれば良かったという思いは、振り返りとしてあります。
今回の店舗開発でこだわったポイントを教えてください。
Y.T
特にこだわったのは、ゲームの映像コンテンツエリアとエントランスでお出迎えをするカイリューです。
台湾では、日本よりもゲームの認知度が低いというマーケットの違いもあり、ゲームの世界観を体験する場所を提供することが、ポケモンセンタータイペイの一つのミッションでした。ただゲームソフトを並べるだけではおもしろくないので、お客様が見たい映像のディスクを選ぶとそのゲームの映像が流れるといった、ゲームの魅力が伝わりやすい映像コンテンツエリアを設けました。
また、エントランスでお出迎えをするカイリューや背景の表現は、そのポケモンの個性やバックストーリーを大事にして制作しています。今回は、カイリューの優しい表情や右手を上げているポーズ、後ろにあるスクリーンで冒険の様子を投影することで、ポケモンセンタータイペイのオープンを知らせにやって来て、到着した瞬間を表現しています。ポケモンセンタータイペイの顔として、お客様に愛される存在になってほしいです。

現地スタッフにも同じ想いで仕事をしてもらうために
「ポケモンのために必要なこと」と「なぜそれが必要か」を伝える
R.Sさんのご担当と、台湾出店時にどのように関わったかを、教えてください。
R.S
私は、ポケモンセンターに入社した新卒・中途すべての新入社員に対する店舗研修を担当しています。研修では、会社説明や店舗オペレーションのレクチャーに加えて、ポケモン体験をつくる「共通の判断軸」をお伝えしています。
ポケモンセンターで働く誰もが、ポケモンの世界観を守ることや、お客様に喜んでいただける体験をつくれるように、約3週間のリモートおよび店舗での研修で、じっくり伝えていきます。
ポケモンセンタータイペイの出店準備では、T.KさんY.Hさんと話し合い、研修プログラムを調整して進めました。店舗研修は、台湾の現地スタッフに日本に来ていただき、日本国内の新入社員と合同で実施しました。
研修を実施してみて、いかがでしたか?
R.S
最初は正直なところ、言葉が通じるか、ニュアンスの違いをうまく伝えることができるか、少し不安な部分もありました。
ただ、台湾からの参加者から「ポケモンを台湾で盛り上げるために、しっかりと勉強したい!」という熱意がとても伝わってきて、非常にありがたかったことを今でも覚えています。
皆さん日本語がとても流暢だったこともあり、日本文化への興味関心の高さも同時に知ることができ、私自身もたくさんの発見がある機会となりました。

研修の際に工夫したことを教えてください。
R.S
相手に何かを伝えるときには、「なぜそれをする必要があるのか」「どうしてそうするのか」といった理由を一緒に伝えることが大事だと思っています。日本でも同じことが言えますが、海外だと文化も違うため、より意識していました。理由がないと、「なぜ、やらなければならないのか?」という疑問を抱えたまま行動してしまうこともあるため、本人が納得した上で行動できる状態になるよう心がけています。
また、ポケモンセンターが果たすべき役割についても、しっかりと伝えるようにしました。
国や地域が異なっても、ポケモンセンターのビジョンに変わりはないので、その点は分かりやすく丁寧にお伝えするよう心がけました。
店舗で実際に動きながら「感覚」で摑む部分もあるかと思います。そのようなスキルは、どのようにレクチャーするのでしょうか?
R.S
空気を読むことや、ハイコンテクストな部分は、必ず「言語化」して伝えるよう意識しており、研修をする上で「先輩の背中を見て覚えて」という場面がないように、気をつけています。
現地スタッフが分からなかった部分はその場で解消したり、Y.Hさんが必ず1日の終わりに振り返りを行ってくれたりしたので、都度情報共有を行い、理解度を確認しながら進めていました。
台湾の現地スタッフも熱心に協力してくれたおかげで、円滑に進めることができました!

想像以上の大反響!
台湾のポケモンファンが待ち望んでくれていた
実際にオープンしてみて、反響はいかがでしたか?
T.K
オープン日を迎えるまでは、どうなるか不安でしたが、当日朝5時半に店舗へ出勤したところ、すでに約3,000名のお客様が並ばれていたので、驚きました!
結果として、非常に多くのお客様にご来店いただき、ありがたいかぎりです。
オープンに合わせて、日本とシンガポールのポケモンセンター社員の方にも、台湾に来てサポートしていただきました。ポケモンセンターは、新店やリニューアルの際、店舗の垣根を超えてサポートする文化があるのですが、このときも、国や地域を越えて多くの仲間に集まっていただきました。
業務面もそうですが、心理的に本当に助けられたのを強く覚えており、また新しいお店が他の国や地域で出店する際は、ぜひ協力したいなと思っています。

2 ポケモンセンターシンガポールの挑戦
「ポケモンセンターシンガポールに行きたい!」と思っていただける新しいポケモン体験を届けたい
ポケモンセンターシンガポールは、どのようなミッションを持っているのでしょうか?
S.S
ポケモンセンターシンガポールは、2019年にオープンしてから非常に多くのお客様にお越しいただく場所に成長してきました。ただ、まだまだポケモンセンターを知らないシンガポールの方も多くいらっしゃるのが事実だと思っています。
そのため、まだポケモンセンターシンガポールを知らない方にその存在を知ってもらい、ご来店いただけるよう認知を広げることを、大きなミッションとしています。
また、新しいポケモン体験を届けるために、定期的なキャンペーン施策にも挑戦しています。

具体的にどのような施策を行ったのでしょうか?
S.S
直近では、ポケモンセンターシンガポール5周年記念の商品を販売したり、公式サイトのリニューアルを行ったり、大規模な広告施策を行ったりと、さまざまな挑戦を行ってきました。
成果としては、より多くのお客様に商品をお買い上げいただいたほか、国内外問わず、SNS上でも大きな反響をいただき、大きな達成感を味わうことができましたが、まだまだできることはたくさんあると思っています。
引き続き商品提供の充実や接客サービスを通じた、お客様の満足度アップに尽力していきたいですね。

現地スタッフ同士で「ポケモンのために」話し合える組織を目指し、チームビルディングに注力する
ポケモンセンターシンガポールには、組織としてどのような特徴がありますか?
S.S
現地スタッフ同士で「ポケモンのために」話し合い、課題解決ができる組織だと思っています。
シンガポールでは、家庭内ではそれぞれ別の言語が話され、公共の場では英語が使われるなど、異なる公用語が共存しています。このような背景から、異文化を持つ相手にリスペクトを持ちながら、オープンに意見を交わせる文化が根付いていると個人的には感じており、一緒に働く現地スタッフの皆さんも、日頃から積極的に意見交換や提案をしてくれます。
例えば、私から「日本のポケモンセンターのようなフレンドリーな接客にチャレンジできないか?」と提起し、日本で行われている研修内容とシンガポールでの接客の違いを現地スタッフたちへ伝えました。すると、現地スタッフ同士で話し合い、自ら解決案を提案し、PDCAを回して接客向上を実践改善してきてくれました。自身で率先して考え、成果につなげてくれたことは、とても頼もしく感じました。
今後は、どういうチームを目指していきたいですか?
S.S
シンガポールでのポケモンの価値をより高めるためには、現地スタッフの視点を大切にしながら店舗運営を行うことがとても大事だと思っています。
現地スタッフ同士での話し合いを通じて、シンガポールのお客様の期待を超える企画などを考えていけるように、良いチームをつくっていきたいと思います。

3 実際に「海外で生活し、働く」ということ
現地の方との交流が、自分の世界を広げる
実際に「海外で生活し、働く」という貴重な経験をされている方のお話をお伺いしたいと思います。
まずは、海外で生活していて良かった点を教えてください。
T.K
いろいろな方との出会いの中で、考えかたが広がったと思います。
息子の幼稚園に行ったらそこで出会った台湾人と仲良くなったり、近所の人とすぐに打ち解けることができたりしたことがありました。
Y.H
いろいろな方と出会えるというのは、私も共感します。生活の中で台湾の方の優しさに触れる機会があり、台湾のことをより好きになりました。近所に日本人が住んでいないこともあり、行きつけのレストランやスーパーに行くと、店員の方が顔を覚えてくれていて、よく話しかけてくれます。台湾華語は勉強中なので、言葉が分からずに困ることもあるのですが、何とかコミュニケーションは取ることができています。
S.S
日本を離れて海外に住むのはすごくタフなイメージがあったのですが、シンガポールはとても住みやすいと感じています。
「みんながこうしているから合わせなきゃ」といった空気が薄く、大らかな雰囲気や人々の優しさを感じることが多いので、そういった部分では気が楽に過ごせています。
予期しないことが起きる毎日を乗り越えたら「チャレンジ精神」が身についた!
海外生活を通して、自身が成長したと感じる点はどこですか?
Y.H
度胸がつきました! 準備をしていても予期しないことは起こってしまいますし、分からないことがあっても、周囲の協力を仰いで進めることができたので、最終的には「チャレンジ精神」で乗り越えた経験が糧になっています。
また、海外事業を経験して、日本にいた頃より、できる仕事の幅が広くなりました。
S.S
Y.Hさんと同様、「チャレンジ精神」はとても身についたほか、現地スタッフすべての安全をどう守るかという、考慮すべき範囲が広がったと思います。
T.K
海外の方に想いを伝える際、日本語のようにいろいろな視点での言い回しができないため、日本語以外でストレートに伝えた際に、相手が違和感を感じていないか、理解してもらえているかを細かく確認するようにしています。少しのズレが、大きく違う方向に進んでしまうこともあるので、気をつけてコミュニケーションを取っていますね。

常に変化すること、新しいことに挑戦することを楽しめる人は
ぜひポケモンセンターにトライしてみてほしい
最後に、ポケモンセンターへ応募する方へメッセージをお願いします!
Y.T
常に変化すること、新しいことに挑戦することを楽しめる人は、ぜひポケモンセンターにトライしてほしいと思います。ポケモンセンターはエンターテインメントやゲーム業界との親和性が高く、目まぐるしく環境が変化するため、私たちに求められることも常に変わっていきます。決まったレールではなく、自分で考えて変えていく力がある人は、楽しく仕事ができる環境ではないでしょうか。
Y.H
株式会社ポケモンセンターには、バックグラウンドが豊かな社員がたくさんいて、お話ししてみると考えかたが広がりますし、お互いに刺激し合える環境です。また、ワクワクを感じながら仕事に取り組めているので、こういった環境はありがたいなと感じています。
S.S
例えば、「ポケモンを海外に広めていきたい」といったような「動機」を持っている方は、自身が大変なときも「動機」が力になってくれると思います。今はポケモンファンでなくても、ポケモンを通じてどんな自分になっていきたいかの想いを持って、ぜひチャレンジしてみてください!
